こんにちは!
今日は少しテイストを変えまして一級建築士の勉強法について
お話する機会をいただいたので
その時の内容をお伝えさせていただきます。
主に初めて受験される方向けになっていますので
一級建築士ってどれくらい難しいの?と気になる方にも
役立つ内容かと思います!
目次はこちらです。
ちなみにワタクシ、合格するまでに7年もかかりました。
ので、「3、なかなか合格できなかった理由」という
これから受験される方には絶対避けていただきたい!項目も混ぜさせてもらいました。
1、学科試験学習のポイント
1-①から1-③として少し項目分けをしてお伝えします。
1-① 目標勉強時間設定と時間の確保
まずは目標勉強時間設定です。
昔から学科試験突破のためには1000時間が目安とされています。
1000時間・・・長すぎてよくわからない!
と感じますが、そういう試験です。
しかもそれだけでは終わりません。
一級建築士試験は学科と設計製図の2段構えの試験です。
私は学科を4回受験しています。
学科1回通過すると製図を3回まで受験できますが、
私は学科を通過して、製図を3回受験しても製図合格にたどり着きませんでした・・・。
なので、2回学科(2回目で合格)→製図3回受験→2回学科(2回目で合格)として、
学科試験だけで4回受験することになってしまいました。
私の4回目の学科勉強時間は870時間です。
合格経験があって、忘れているものもありますが、
理解ものは済んでいる前提でこれです。。。
ですので1回目の合格には1200〜1500時間程度は必要になると推測しています。
途方もなさすぎて実感がわかないです。
次に勉強時間を1週間単位で書き出してみました(上記図)
オレンジ色の箇所が勉強時間です。
土日はオレンジ11時間とし、実質勉強時間は8時間としました。
平日は朝活ありとして、1週間あたりの勉強時間は29時間です。
そうすると資料のとおり、
最低:1200時間➗29時間=41週
目標:1500時間➗29時間=51週
ということで41〜51週かかることになります。
ちなみに1年=52週です。
ほぼ1年間、フルで勉強し続けて合格の土俵に乗ってくる、
そんな試験です(厳しい・・・)
1-② 学習の優先順位
上記は私の勉強時間と科目別の割合になります。
試験科目は5科目ですが、
・法規(30点/5科目合計125点)で全体の約半分の勉強時間
・構造(30点/5科目合計125点)で全体の約30%の勉強時間
を費やしています。
法規と構造で合計50点以上必要と言われます。
これは点数の割合が大きいことと、
安定的に点数を取りやすいためです。
計画や環境設備は難しすぎて、試験後に合格ボーダーラインを下げられた
こともあるほど、難易度が上下します。
ですが、割合が比較的小さい(各20点)のでなんとかなります。
法規や構造はそうはいきませんので、
しっかり点数ボリュームを確保することが合格に大切になります!
1-③ 他受験生と比較した自分の順位を把握
学科で模試は超!大切です!!
点数はもちろん大切ですが、合否は相対試験(順位)で決められるからです!
私の場合は4回目だったこともあり、上位10%を目標にしていましたが、
一番勉強時間を割いている法規が目標に届きませんでした。
時間を使ってたくさん問題を解いているので
出来た気持ちになっていましたが、
この結果を見るとまだまだ他の受験生に対して遅れているとわかりました。
自分の位置を数値で確認するため、模試は必須です!
ただし模試によっては解答のみ(解説無し)や、
順位の表記が無いなものもあります。
解説は当然必要ですが、上記のように順位や、1問ごとの正答率がわかると
他者との比較がよりリアルになります。
学校に通わなくても模試だけ有料受験をすることもできます。
フィードバックがどのようになるかを確認してから受験することをお勧めします!
2、設計製図試験 学習のポイント
こちらも2-①から2-③として少し項目分けをしてお伝えしますが、
イメージが伝わらないと思うので、
先に私の復元答案とエスキス(条件整理)資料をお見せします。
問題用紙は転載NGとされているので、お見せできません(涙)
その代わり試験元のホームページには無料で過去問題まで含めて載っていますので、
こちらをご確認お願いします。
2-① まずは作図を2.5時間で書き上げる
最初の関門は作図です。
1枚目は資格学校の答案例をトレース(書き写し)をしましたが、
1枚書くのに10時間ほどかかりました!
これを2時間半まで短縮しないといけないとわかり、
ものすごい心理的プレッシャーがありました・・・。
短縮の方法はとても地味ですが、
テキストの作図順に沿って書き、その書き順に慣れることです。
イメージは大枠(通り芯、躯体)から小さいところ(室名、什器、外構など)へ
順に書いていくイメージです。
徐々にどの段階(工程)で時間がかかっているかを確認するため、
工程ごとに時間を測り、目標時間とどれくらい差があるかを確認します。
苦手工程を確認→対策→実施→時間の確認を進めます。
10枚くらい本気で書けば3時間程度にはなるはず!なので、
早めに2時間半に到達しましょう。
本番の試験時間は6時間半ですが、
作図自体の綺麗さや上手さを採点されるものではありません。
作図内容(エスキス結果)や計画の要点等の内容を判断されています。
ですので、作図時間はなるべく圧縮し、
採点対象事項に試験時間を充てることが合格に向けて有効になります。
お題の課題発表から設計製図試験までは約2ヶ月半しかありませんので、
作図は早期に短縮し、
エスキス等に勉強のウエイトも移していくことが必要です。
2-② エスキスは本番再現性を意識!
エスキスという条件整理についてです。
設計製図試験の一番の難しさはここにあると思います。
なぜならエスキスには作図のように正解の手順や、
学科のような明確な正解が無いからです。
そのため資格学校、校舎、講師によってエスキスのやり方が全く違います!
エスキスは1時間で終わらせて微調整は作図で処理すべき!という講師もいれば、
エスキスに3時間かけてプランを作り、作図は作業として一切の手戻りは無しという
講師もいます。
その時間差なので、条件処理の方法が全く違うことが
なんとなく想像できると思います。
勉強する方からすると、正解が無いのに何を目指したらいいのか・・・
となりますね。
そこで頼りにするのがこちら!
またしても試験元のホームページです。
・合格基準等(採点のポイント、採点結果の区分、合格基準)
・標準解答例
今なら平成26年のものから掲載されています。
これを見てどんなプランなら合格になるのか、
目指すべき方針を確認することがとても大切です!
合格に必要なのは合格答案(当たり前)ですが、
学校の解答例を目指すと痛い目を見ることになるかもしれません。
それは学校の解答例は試験時間6時間半でたどりつかないような良いプランだからです。
本番でエスキスに充てられる時間は2時間半程度です。
良いプランを作ろうと3時間半かけたら作図や大事な見直しの時間がなくなってしまいます。
なので良いプランではなく、
条件を満足したプラン=合格答案とはどのようなものかを確認することが
とても大切です。
目指すところを確認したら、
自分のエスキスで各工程や手順をブラッシュアップします。
添削を通じて、どの工程でミスしたかを確認して、
また工程、手順の検討に戻って対策を組み込みます。
ブラッシュアップの過程では、本番で使える技になっているかを
意識することが大切です。
時間がかかる大技は一発勝負の本番で、時間切れになるリスクがあります。
難問奇問の対策をしても出題されないかもしれません。
応用できる準備をしながらも、基本を大切に!
大切なのは課題条件を外さずに、まとめ切ることです。
2-③ 計画の要点等を甘くみるな!
エスキスが出来て、図面が書けてもまだ計画の要点等についての
勉強が必要になります。
ここは図面に書き表せない考慮した内容を説明する段階になります。
プラスアルファでもう1歩、お客さんに気に入ってもらうための
アピールをするようなイメージです。
なので図面との食い違いは絶対NG、
学科で勉強してきた構造や設備の内容も含めて
トータル的にOKな建物ですと伝えなくてはいけません。
説明文だけではなく、詳細図も求められます。
これらの勉強対策としては課題として資格学校等で出題されたものを
実質的に理解&暗記して、自分の記憶の引き出しに整理することで
大体対応できると考えてもらって大丈夫です。
ただし不完全なものではランクⅠは目指せません。
図面がいくら良くても、計画の要点等がイマイチなために
ランクⅡになってしまっている方もいます。
時間がない中で勉強しないといけないので、
スマホの音声読み上げや答案例録音などで、
上手に時間を活用して対策をするのが良いと思います。
3、なかなか合格できなかった理由
次に私がなかなか合格できなかった理由についてお伝えします。
この試験ですが、学科と設計製図で目指すゴールが全く異なります。
学科は加点式、設計製図は減点式の採点方法になります。
もっと言うと一発失格の項目(法規、空間構成≒使い勝手)が存在します。
図面が綺麗でも、要求条件を満たしていたとしてもです。
ですのでエスキスで条件整理をするとともに
法規を守り、使い勝手の良いプランを目指す勉強が必要になります・・・①
前述同様に、解答例のような良いプランを目指す必要はありません。
さらに問題用紙はA2でそもそも大きい・・・
当然文字量も多いので、要求事項を漏らさずに答案用紙に
落とし込むことが必要です・・・②
具体的には試験時間のラスト30分(少なくても15分以上)を
見直しの時間にあてないと、見直しができない量になっています。
①、法規、使い勝手を両立させるエスキスを作ること!
②、見直しが超大切!
③、①②のバランスを崩さないタイムマネジメントが必要
となります。
私は①が出来るようになるのに3年、②に気付くのに1年かかり、
合計で5年受験しました。
これから本腰を入れて勉強される方には、
頭の片隅に入れて取り組んでいただければと思います。
4、アドバイス
最後にアドバイスです。
一級建築士取得後の姿をイメージしてください。
私は辛い受験生活になってしまい、
そのままのリアルを書いたので、厳しい面が中心になっています。
ですが、取得後は社内外で貴重な存在となり
発言に説得力を感じてもらえるようになりました。
現在の取得者は年配の方が多く、特に有資格者の若者は
どの企業も激しい奪い合いです。
昇格、昇給も早くなること間違い無しです。
ただし建築業界で仕事をするならです。
取得後の姿を具体的にして、熱量高く勉強に向かっていただきたいです。
学科のところで触れましたが、本当に合格までの勉強量が多く
とても時間がかかります。
月、週単位のスケジュールはもちろん、
アバウトで良いので年単位の予定も組んでいた方が良いかもしれません。
もちろん短期で攻められる方は、どんどん進めて欲しいです!
勉強方法は資格学校、個人塾、SNSまで無限にあります。
どこも一長一短です。100点はありません。
決めるには迷いもあると思いますが、
やり方を決めたら他とやり方が違って当然です。
しっかりとそこの方針でやってみてください。
最後に私の経験から特に初学者には資格学校の通学をお勧めします。
この膨大な勉強量を個人で管理するにはとても労力がかかります。
マネジメント時間を圧縮するために資格学校の活用が近道だと思います。
ただし費用は学校ごとに全く違いますので、
よく確認してお財布と相談してから、
勉強方針を決めていただきたいと思います。
長くなりましたが今回は以上です!
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